私は今年3月28日で69歳になりました。と言っても、69歳になったからといって仕事が減るどころか、患者さんも増え、業務も拡張しておりますので年々忙しくなっています。勉強のために毎月一回から二回東京などにも出張しております。ですから正直に言えば、69歳になったことを真剣に考えている暇もなければ、感慨にふけっている暇も無いのです。もっと言うなら、忙しくて自分の歳を考えている時間もなければ、人生のことも考える時間もなく、いろいろなことを悩んでいる時間もありません。
患者さんを一生懸命に診察し、治療して、飛び回っていると全ての悩みも、心配事も吹き飛び、いわば"無"の境地になります。
確かに私は座禅しているようにじっとはしておらず、仕事で忙しく外来を飛び回っているのですが、患者さんを治すこと以外については一切が無になり、世俗から切り離された世界にいるようにさえ感じます。その時には実際に自分自身の存在さえ感じなくなることさえあります。
また開業以来20年、25年のお付き合いのある患者さんも多いので、単に病人の患者さんを冷静に診察するというより、自分の尊敬する先輩、仲の良いお友達、或いは一緒に10年、20年人生を歩んで来た仲間と感じ、一人一人の心の中に入りよく話を聞きながらその人の希望に合った治療を選択したりします。また、難しい病気ですぐには治療が出来なくても患者さんと私が二人三脚でベストの治療を探しに旅に出る感じで一体感をもって診療にあたるようになりました。
私は実際には若いころ、高齢になったときの医療についてはあまり希望とか楽しみとかのイメージは持っておりませんでしたが、69歳になった今、若いころの自分の医療の数倍も心より患者さんを愛して大切にしながら楽しく診療できていることに大きな喜びを感じております。
また長年臨床を行い、勉強を重ねた結果広い領域に渡る医学知識が増え、治療の知識も技術も広くなったのでいろいろな困難な状況の中で私の大きな知識と技術のコンピュータを使って解決できることがとても楽しみで遣り甲斐のあることだと感じております。
患者さんは老若男女問わず私の恋人であり、また一人一人がその人の治療に関して私との二人三脚の旅にでる、という言葉が今の私の心境です。
この心をさらにレベルの高いものに醸成して平成26年3月28日に70歳を迎えたいと思っております。
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