さわやか真誠会

平成11年3月号

〜院長から 患者さんへの手紙〜

私は鯉のおいしゃさん

真誠会医院 院長 小田 貢

 

 私は何をするにしても、すぐに夢中になってしまう性格です。
今から約5年前のことですが、私は鯉に夢中になりました。きっかけは、義理の父が鯉を飼っていたことです。ですが、鯉を飼っているといっても、全く質素で地味な鯉でした。
 私は、最初あまり鯉に興味はなく、どちらかといえば、鯉よりも日本庭園に興味がありました。しかし、ある時父へのプレゼントとして数匹の鯉と浄化装置を買いました。実際に自分も鯉の世話をしてみると、自然と愛着が湧くようになり興味が出てきました。私はすぐに鯉に関する本を数冊買い、飼育について勉強しました。そして、休みの日には米子近辺の養鯉場をまわり、気に入った鯉を買うようになりました。また、自分が気に入った鯉を探しに、西伯郡や松江方面まで足を延ばして出かけたこともありました。とは言っても、1万円以上するものは買ったこともありません。ほとんどは3〜5000円の小さいものばかりで、自分の池で育てるのが楽しみだったのです。多い時には40匹ぐらい飼っていたと思います。
 しかしある時、池の管理が悪いせいか鯉が死に始めました。心配になり鯉をタモで掬い上げて見てみると、体のあちこちに潰瘍ができておりました。そのしゅよう腫瘍の部分は腐ったようになっており、私の指の先さえ入るほどひどい状態でした。それから私は池を徹底的に消毒しましたが鯉の潰瘍は治りませんでした。
 その鯉は、私が育てて5年も経っていましたし、それだけに愛着もあり、是が非でも助けたいと思いました。そこでとにかくその鯉を助けたいと思う一心で、「人間と同じ治療をしてみよう。」と突然思い付きました。薬はステロイド(副腎皮質ホルモン)を使用しました。それから毎日、仕事が終わるとタモで鯉を掬い上げ注射をして治療を施しました。
 その治療の甲斐があってか数週間後には鯉の潰瘍は治り元気になったのです。しかし、元気になった変わりに、ホルモン治療のためか体の色が変わり、色素が無くなりせっかくの綺麗な模様が消えてしまいました。それでも鯉の命が助かったことで、胸をホッとなで下ろしました。全国広しといえども魚に注射をして治した医者は私だけではないかと思います。
 その後私は、真誠会医院を開業し2〜3年間は仕事に追われる日々が続きました。そのため、鯉の管理が困難となり飼うのをしぶしぶ諦めざるをえませんでした。そして、その鯉は湊山公園の池に放しました。
 今でも、その鯉が元気で池の中を自由に泳いでくれていればいいと思います。
そして、開業した今日では二度と出来ない楽しい想い出として私の心に残っています。

 

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