さわやか真誠会

平成10年9月.10月合併号

〜院長から 患者さんへの手紙〜

「ホスピタウン開設10周年を迎えて」

真誠会医院 院長 小田 貢

平成10年9月9日でホスピタウン真誠会は皆様のお陰で10周年を迎えることが出来ました。
10年前、真誠会は田んぼに囲まれた場所に建設され、まるで田んぼの中の出島の様でした。真誠会医院の建設予定地まで行くには幅2メートル程の畦道を歩いて行ったものです。
   しかし、その当時から現在の姿を想像しながら医療福祉の町「ホスピタウン」の実現を夢見ていました。開業前の私は、鳥取大学医学部付属病院の助教授でした。研究者の端くれでしたから大学では医学を教え、実験をしていました。論文を書きアメリカ、ドイツでも研究発表をしたものです。
突然の開業医への転身の理由はいろいろありますが、当時としては荒唐無稽のホスピタウン構想を私に思い付かせたのは多分、神からの啓示があったのでしょう。
 私は一度死んで再び生まれ変わっても、やはり医者を天職とする事は確かです。しかし、この様な大胆なホスピタウン構想のために大学助教授を辞職することは生まれ変わったらとても恐くて2度と思い付かないでしょう。
 大学病院の中ではいざ知らず一般市中病院、市民の間では無名であった私の真誠会医院を開業直後に受診された方はとても勇気があった患者さんだったと思います。
 開業して第一日目は、最初の患者さんが神様のように思えました。そして開業当日は患者さんが少ない事が分かりきっておりましたので、出入りの業者の方が自主的に自分の悪いところを探して真誠会医院を受診されました。初日の患者さんの数は約30人位だったと思います。真誠会医院の従業員数も12人位で始めました。
 開業して1ヶ月後くらい経った頃、一日の患者数が50人となり、これで何とかやって行ける目処があたったと喜んだものです。その当時は、50人診察したら日が暮れて、私の身も心もクタクタになっていました。
 それから10年間、ホスピタウンでは毎年新しい部門を作っていき、ほぼ毎年新しい建築が開始され槌音が絶えることはありませんでした。
 10年経った現在、患者さん50人は午前中で診察してしまう数になりました。現在、一日の外来数は110〜130人で、入院はいつも満床の19人、その他老人保健施設の89人、デイケアは真誠会、ゆうとぴあ合計約50人です。それに透析部門、訪問看護、保育園があります。
 そして勿論、いえはら歯科、辻田耳鼻咽喉科、中下皮膚泌尿器科等と力を合わせ急速に大きくなり、全国的にもトップクラスと言えるほどの地域医療のグループ開業になりました。
 それに加え、10周年を飾るに最も相応しい事は、弓浜ホスピタウンの誕生が決まったことです。ベッド数140床の大規模医療福祉施設、弓浜ホスピタウンが着工となります。

   従業員12名足らずで10年前に発足した真誠会医院が、10年後には総ベッド数250床近くの医療福祉施設となり、従業員は200人にもなりました。即ち、従業員数もベッド数も10年の間で10倍以上に成長したのです。
 これは夢が叶ったと言わずして何と言いましょうか。
   その代償として、私の仕事は開業当時に比べると5倍以上の忙しさになったのではないでしょうか。しかし同時に私の精神力も体力も5倍以上強くなりました。
その忙しさの中でも開業してから出来るようになった事が沢山あります。大型バイクの運転、写真、マウンテンバイク、コンピュータ、インターネット等です。
 写真に関しては創設10周年を記念して中国電力「エネルギアギャラリー」で念願の個展が実現したことがとても嬉しく思います。
 また10年間にいろいろ出来るようになったこと以上に嬉しかったのは、大学助教授のままでは出会えなかったであろう多くの素晴らしい人達との出逢いがあったことです。具体的には、聖路加国際病院理事長 日野原重明先生、医療環境研究会世話人 結城榮一先生など日本医療のリーダーの先生方、その他、山陰の沢山の医療関係者、政財界人、そして行政の皆様方です。また、地域の方々との素晴らしい出会いがあった事を感謝します。
 地域医療活動としては河崎地区を中心として、年間4〜5回の健康講座を開いておりますが、最近では弓浜の校区以外の広く米子市の各地区からの講演依頼が来るようになりました。
 私の、次の夢は60歳までにホスピタウンを更に充実させロマンのあるる医療福祉の町を完成させることです。

 

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