さ わ や か 真 誠 会

平成17年3月号
特別号

〜院長から 患者さんへの手紙〜

聖路加国際病院研修中間レポート

医療法人 真誠会
真誠会医院
院長 小田 貢

 患者さんの皆様方にご迷惑をおかけすることを覚悟で、今回、聖路加国際病院で数十年ぶりに学ぶ側の立場になって日々勉強しております。真誠会を離れてすでに2週間となりました。
 さて私が現在学んでいるのは、最先端医療ではなく、医療環境、医師、看護師などの医療スタッフと患者さんとの人間関係などです。
 聖路加国際病院についてはすでに私の著書『日野原先生リビング・ヒストリー』の中でも書いている日本でもトップクラスの病院ですが、実際に中に入ってみると想像以上のすばらしい環境と、患者さん中心の接遇、無駄のない動線、患者さん職員の数の多さに比べて驚くほどの静かさと、精神的にも不安感を与えない雰囲気などがあります。それは多分建築のみではなく、スタッフの質、患者さんの生活水準、病院の雰囲気など一朝一夕にできたものではなく、他の病院では真似のできないものだと思います。病院の2階フロアー(検査部門)の中央には礼拝堂があり、精神的に不安になった時にはちょっと立ち寄るだけで患者さんも、家族も、スタッフも心を救われることでしょう。
 接遇も単に言葉の丁寧さではなく、微笑みが伴っており真からの接遇であることは一目瞭然です。スタッフの言葉遣いも○○様と丁寧であり、「様」だけが尊敬語でその後に続く言葉もいい加減な日本語ではなく、スタッフの物腰と「○○様」に続く言葉とがきちんとバランスが取れているのです。医師の患者さんに対する態度もとても丁寧で、言葉もやさしいのです。男性の放射線科のスタッフも患者さんの背中を「お背中」と言っておりました。看護師も下着を「お下着」と言っていたり、おしっこを「お小水」と言っていました。看護師の丁寧な言葉使いについて聖路加国際病院として教科書とかマニュアルがありますか?と訊ねてみましたが、聞かれたスタッフは微笑みながら「ありません」という返事でした。現場での口伝えの伝統教育のようです。「教科書を使っていますか?」と聞いた私が恥ずかしくなりました。
 聖路加国際病院の中では時間がゆっくりと、静かに、優しくながれており他の病院とはまったく異なるところでした。病院と教会の中間にある雰囲気のところといえばよく理解していただけるかもしれません。実に聖路加国際病院の理念(キリスト教精神)が間違いなく具現化されているところです。
 私は2週間後に真誠会医院に帰ります。よほどの理由がない限り3月28日の61歳の誕生日より外来診療を再開いたします。聖路加国際病院で研修したから少しは優しくなったと皆様に評価していただけいるかどうか不安になってきつつある今日このごろです。
 4月には真誠会医院の正面に植えた私の還暦桜が満開になるのをお楽しみくださいませ。私にとって人生の区切りの桜です。

バックナンバー

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平成24年2-4月号(Vol.124) 日野原先生 小田貢 師弟桜

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平成23年8-9月号(Vol.120) 高齢者「生活支援隊」誕生
平成23年6-7月号(Vol.119) 検診対象者全員が胃がん検診を
平成23年5月号(Vol.118)がんばろう東北!
平成23年4月号(Vol.117)生きていることへの感謝
平成23年1-3合併号(Vol.116)自然の力に見せ付けされて
平成22年11-12合併号(Vol.115)あの日のときめきをもう一度
平成22年9-10合併号(Vol.114)胃カメラ小僧、カメラ小僧、そして自転車小僧
平成22年7-8合併号(vol.113)お盆と花火
平成22年5-6合併号(vol.112)愛情で咲かせる桜とバラ、そして人
平成22年3-4合併号(vol.111)桜にときめき、桜に戻す
平成22年2月号(vol.110)人生のバラを咲かせましょう

平成21年12月-平成22年1月合併号(vol.109)新たな決意で
平成21年11月号(vol.108)秋の楽しみ
平成21年9-10月号(vol.107) カメラ小僧から胃カメラ小僧に −65歳の挑戦−
平成21年8月号(vol.106)今年も”夏太り”に注意しましょう
平成21年7月号(vol.105)65歳の馬鹿力!!そして総合医を目指して
平成21年6月号(vol.104)イングリッシュガーデン”ターシャ”開園
平成21年5月号(vol.103)65歳のカメラ小僧
平成21年4月号(vol.102)桜命
平成21年3月号(vol.101)患者の皆様にご理解を
平成21年2月号(vol.100)拝啓十五の君に
平成21年1月号(vol.99)65歳を目前にして

平成20年12月増刊号(vol.98)心にシワはこない
平成20年12月号(vol.97)今こそ耐えて、足元をみて
平成20年10・11月号(vol.96)月光仮面と陸王
平成20年9月号(vol.95)日野原先生再び米子講演
平成20年7・8月号(vol.94)夏太りではなくメタボ解消の夏に
平成20年6月号(vol.93)何でも「品格」時代
平成20年5月号(vol.92)自然はすばらしい
平成20年4月号(vol.91)いびきは危険(睡眠時無呼吸外来)
平成20年3月号(vol.90)メディカルフィットネスのすすめ
平成20年2月号(vol.89)「小江戸」倉敷を訪れて
平成20年1月号(vol.88)メタボ元年

平成19年12月号(vol.87)希望に胸を膨らませて
平成19年11月号(vol.86)看病すること、看取ること
平成19年9・10月号(vol.84)新たなる挑戦
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平成19年1月号(vol.80)○○太り、、、、、

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平成17年9・10月号(vol.70)新老人の会へのご案内
平成17年8月号(vol.69)野茂英雄、三浦知良選手に、『男の美学』を見る
平成17年6・7月号(vol.68)「寝たきり防止」について
平成17年4・5月号(vol.67)真誠会医院から真誠会セントラルクリニックへ
平成17年3月特別号 聖路加国際病院研修中間レポート
平成17年3月号号外 4月より消化器常勤医師が勤務
平成17年2・3月号(vol.66)還暦のしめくくりと61歳の旅立ち
平成17年1月号(vol.65)先生の愛の深さ伝えたい

平成16年12月号(vol.64)今年を振り返って
平成16年9-11号(vol.63)私のダイエット
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平成16年4-5月号(vol.60)青松庵が出来ました
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平成15年11・12月号(vol.58)健康痩身しませんか
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平成15年8・9月号(vol.56)秋の訪れ
平成15年7月号(vol.55)平均寿命と健康年齢
平成15年6月号(vol.54)緩和ケア病棟設立を目指す
平成15年5月号(vol.53)動物カメラマンの目線
平成15年4月号(vol.52)そうだ、京都へ行こう
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平成14年11・12月合併号(vol.49)日野原先生の力強く優しい手
平成14年9・10月合併号(vol.48)花の命は、、、
平成14年7・8月合併号(vol.47)猿が退化した姿が人間?
平成14年6月号(vol.46)花とエンジェルのテーマパークその3
平成14年5月号(vol.45)花とエンジェルのテーマパークその2
平成14年4月号(vol.44)花とエンジェルのテーマパークその1
平成14年2.3月合併号(vol.43)西陣織匠
平成14年1月号(vol.42)イチロー選手に学ぶ

平成13年12月号(vol.41)魂が踊る
平成13年10・11月号(vol.40)同窓会で見る自分史
平成13年9月号(vol.39)神の子モーツアルト
平成13年8月号(vol.38)私の人生最高の友「S君」
平成13年7月号(vol.37)夏の思い出
平成13年6月号(vol.36)21世紀の真誠会ロビー改革
平成13年5月号(vol.35)桜談義A
平成13年4月号(vol.34)桜談義@
平成13年3月号(vol.33)父の想い出
平成13年2月号(vol.32)私のボランティア活動
平成13年1月号(vol.31)しなやかに強く


平成12年12月号(vol.30)優しさレベルの分類
平成12年11月号(vol.29)カウントダウン20世紀
平成12年10月号(vol.28)堀江先生の爽やか電話
平成12年9月号(vol.27)しまなみ海道走破記
平成12年6.7.8月合併号(vol.26)ベン・ケーシーに憧れて
平成12年5月号(vol.25)感動的な本との出会い
平成12年3月号(vol.23)写真撮影裏話
平成12年2月号(vol.22)21世紀の福祉に夢を
平成12年1月号(vol.21)新年のご挨拶


平成11年12月号(vol.20)新しい町弓浜ホスピタウン
平成11年11月号(vol.19)写真と医療における芸術
平成11年10月号(vol.18)永遠のテーマを残す
平成11年9月号(vol.17)米川探訪
平成11年8月号(vol.16)素晴らしきかな劣等感
平成11年7月号(vol.15)私は聴診器を持った指揮者
平成11年6月号(vol.14)聴診器と私
平成11年5月号(vol.13)大樹は古老か哲学者(木についてその2))
平成11年4月号(vol.12)大樹は古老か哲学者(木についてその1)
平成11年3月号(vol.11)私は鯉のおいしゃさん
平成11年2月号(vol.10)寒稽古の想い出
平成11年1月号(vol.9)ウィンターセレブレーション(冬の祝福)

平成10年12月号(vol.8)山陰一のクリスマス・イルミネーションを夢見て)
平成10年11月号(vol.7)仕事と育児の両立
平成10年9.10月合併号(vol.6)ホスピタウン開設10周年を迎えて
平成10年8月号(vol.5)マウンテンバイクに乗って自然に帰る
平成10年7月号(vol.4)日野原重明先生との運命的出会い
平成10年6月号(vol.3)我に七難八苦を与え給え

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