さ わ や か 真 誠 会

平成16年4・5月
第60号

〜院長から 患者さんへの手紙〜

青松庵が出来ました

医療法人 真誠会
真誠会医院
院長 小田 貢


 平成16年4月1日、社会福祉法人真誠会『グループホーム青松庵』が完成しました。
グループホームとは、中度痴呆高齢者のグループ生活、集団生活、助け合いの生活を通して脳、精神の活性化を引き出し、QOL(生活の質)を維持し改善する施設です。
 グループホーム青松庵は、真誠会の施設の中でも最高のおもてなしの出来る場所、ご利用者の方、ご家族が共に心が休まる場所を提供したいとおもい作りました。安心して過ごせる環境の中で、それをとりまく全ての支援者がプライドをもって利用者の方を暖かく見守り、一緒に過ごしながら、静かな時間を共有できる場所にしたいと思います。
 グループホーム青松庵は、真誠会として初めて和風の建築を試みました。「和」の空間を取り入れることで、禅の世界にも通じる、静かな中にも心の豊かさがもてる設計となっています。壁面は私が好きな倉敷の土蔵作りの白壁を想像させる壁で構成されています。また、柱を黒く塗り、静けさの中にも力強さを表現しました。弓浜半島の白砂青松の情景、そして建築場所の松林の風景を考え、また人間の生命力をイメージして「青松庵」と銘々しました。定礎には「豊老」という私の造語が書かれています。それは青松庵で「豊かな老い」を感じ、あるいは「豊かに老いる」ことを意味しています。
 玄関を入り、少し明るさを抑えた長い廊下を進むと、そこには広々とした空間が広がります。建物の中心には、能楽堂、茶室をイメージした舞台兼休憩のスペース『六角堂』が設けられています。六角堂の正面には一輪の花が飾られており、その一輪の花が、青松庵全ての中心となるのです。玄関、庭には松が合計7本植わっておりますが、これは実は先日まで真誠会医院の庭に植えてあったものです。
 痴呆を抑える、進行を止めるためには、心安らぐ開放空間が必要だと考えます。なるべく沢山の人と接触をもち、楽しい会話をすることが一番大切だと思います。
 青松庵の制服は「作務衣(さむえ)」にしました。「作務衣」とは禅宗の修行僧が日々の仕事の時に着る作業着です。私は「作務衣」は痴呆の方を最高におもてなしをするものとして、自分自身を謙虚な立場に置くためにふさわしい服装だとおもい決めました。
この施設での「おもてなし」は行動によるおもてなしではなく、『心のおもてなし』を意味しています。「何もしないおもてなし」、時には入所の方に「もてなしてもらう、おもてなし」もあるでしょう。作務衣を来たスタッフは出来れば空気のように無の存在になるのがよいと思います。
 青松庵の建物を一周できるお散歩コースが出来ました。松林や自然の草花を眺めながら、鳥のさえずりに耳を傾け、自然の香りを全身に吸い込むことで自然からエネルギーをもらうことができます。また、お散歩コースには、玄関前にある小さな可愛らしいお地蔵さんから始まり、合計四体のお地蔵さんをお参りするコースも作る予定です。可愛らしいお地蔵さんを見ると誰も思わず両手を合わせて拝みたくなります。
 青松庵では、ご利用者の方だけではなく、ご家族、知人、地域の方々も一緒に集い、ゆったり流れる豊かな時間の中で自分の人生を思い返し、そしてこれからの人生について想いを巡らせ、自分の運命を素直に受容することが出来るような施設になることを望んでいます。
 青松庵に興味のある方は真誠会医院 受付までご連絡くださいませ。



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